[CSIRTインシデント訓練サービス 導入事例]
積水化学工業株式会社 様

オリジナルのシナリオによるセキュリティインシデント訓練で
フローやエスカレーションを確認
来期以降は訓練を横展開し、さらなるセキュリティ意識の向上を目指す

導入の課題/導入効果

課題

  • 生産ラインによるセキュリティインシデント対応
    フローの部門全体の理解不足
  • 実際にセキュリティインシデントが発生した際に、適切に対応できるように備える必要性を感じていた

効果

  • 生産部門とIT部門がセキュリティインシデント
    訓練を実施、対応フローとエスカレーションの
    理解が向上
  • セキュリティインシデント訓練で見えてきた課題
    の共有を実現

会社概要と実施背景


中間膜、機能性樹脂、微粒子・感光性樹脂を生産

1947年にプラスチックメーカーとして創業して以来、暮らしの根幹にある社会課題解決に挑戦し続けている積水化学工業株式会社(以下 積水化学工業)。その積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーに位置付けられている積水水口化工株式会社(以下 積水水口化工)は、中間膜、機能性樹脂、微粒子・感光性樹脂の3つの生産部門を有している。「卓越したモノづくり力と活気ある人材を誇る積水水口化工は、積水化学グループNo.1の生産会社を目指しています」と積水化学工業株式会社 滋賀水口工場 企画管理部 経理システム課 システム係 深田 耕治氏は語る。

生産ラインのセキュリティは工場側で対策

現在、ランサムウェアなどのサイバー攻撃がビジネスシーン全体で大きな問題となっているが、それは製造業界も例外ではない。サイバー攻撃によって生産ラインが停止するなどの被害も出ているため、サイバーフィジカルセキュリティの重要度が増している状況だ。積水水口化工も同様、グローバルな製品を生産しているだけに厳重なセキュリティ対策が求められている。「インターネット側に関しては積水化学工業の情報システム部門と連携し、何重ものファイアウォールを設置するなどして強固な対策を行っています。一方、生産ラインに関しては、現場を理解している積水水口化工側で対応する必要があります。生産設備やシステムのセキュリティはそれほど心配する必要はありませんが、セキュリティインシデントが発生した場合のエスカレーションなどには若干の不安がありました」(深田氏)

積水化学工業株式会社 滋賀水口工場
企画管理部 経理システム課 システム係
深田 耕治 氏

インシデント訓練の実施理由


セキュリティインシデント対応に対する不安

若干の不安でも解消したいと考える積水水口化工が、インシデント訓練をシーイーシーに依頼した理由は3つ。「もっとも大きな理由は、2022年当時、製造業に対するサイバー攻撃が話題となり、もしも工場がサイバー攻撃を受けた場合に従業員が適切なインシデント対応ができるのか不安を感じたこと。2つ目は大手セキュリティベンダーのセミナーに参加し、有意義なセキュリティインシデント訓練を体験したこと、3つ目は長年取引のあるシーイーシーに相談した際に、同社がセキュリティインシデント訓練サービスを提供していることを知ったことです」とはっきりとした口調で深田氏は語った。

シーイーシーは積水化学工業および積水水口化工との付き合いのなかで、さまざまなセキュリティ対策の支援を行っていた。実際、2019年には情報セキュリティの現状を評価し、課題の可視化と改善に向けたセキュリティ戦略ロードマップ作成を行う情報セキュリティアセスメントを実施。さらに、脅威管理ソリューションの導入を支援するなど、積水化学工業と積水水口化工にとって欠かせないセキュリティベンダーの1社として認知されていた。「セキュリティ対策に造詣が深いシーイーシーのセキュリティインシデント訓練ですから、ぜひお願いしたいと思いました」と深田氏は笑顔で語った。

訓練実施のプロセス


2つのシナリオを作成してセキュリティインシデント訓練を実施

セキュリティインシデント訓練に関する1回目の打ち合わせは2024年の夏。10月以降、数回の打ち合わせを経て2024年内には訓練のシナリオが完成した。深田氏がセキュリティインシデント訓練に求めたことは2つ。「実際にセキュリティインシデントが発生した際のフローとエスカレーションを理解するベーシックな訓練がひとつ、2つ目はリアリティのあるセキュリティインシデントに対し、役職にとらわれず、一人ひとりが考えて発言しディスカッションする訓練を求めました」(深田氏)

深田氏の要望に対し、シーイーシーの高野は「お客様の要望や環境などをヒアリングさせていただき、お客様ごとに最適化したセキュリティインシデント訓練を提供できるのが当社の強みです。また、さまざまな生産工場様とのお取引を通じて蓄積した知見もあります。これらを踏まえて2つのシナリオ(表)を作成させていただきました」と語った。

シーイーシーが作成したシナリオを承認した積水水口化工は、2025年の年明けからセキュリティインシデント訓練実施に向けた調整に着手。そして3月、生産ラインの1部門とITに関わる部門が参加し、実際にセキュリティインシデント訓練を実施した。

表:作成したシナリオ

シナリオ  シナリオ①(シナリオ開示型)  シナリオ②(シナリオ非開示型)
概要
  • 生産管理システムがランサムウェアに感染
  • 作業端末まで感染が拡大した場合の各担当者の対応を確認する訓練

メンテナンス作業において外部業者が使用した
USBメモリーから、マルウェアに感染した場合の対応について、各担当者が何をすべきかを議論する訓練
訓練ポイント
  • 影響範囲の確認
  • 生産ライン停止の判断
  • 復旧の判断
  • 影響範囲の特定
  • 原因の特定
  • ルールの策定

評価と今後の期待


インシデント時のフローの理解と課題共有という成果を得る

セキュリティインシデント訓練後、振り返りのディスカッションや参加者からのアンケートを通じての評価はおおむね好評とのこと。「フローを理解できたという意見が多かったと思います。セキュリティ対策に力を入れている従業員には簡単だったかもしれませんが、大事なのはフローを部門全体で理解すること。正確なエスカレーションを行い、いかに素早い復旧につなげるかが大事です。インシデント訓練で見えてきた課題を共有できたことも、今後に活かせると思います」と深田氏は安堵した様子で語った。

深田氏の言葉を受け、シーイーシーの高野は「ディスカッション時も活発に意見が飛び交い、非常に有意義なインシデント訓練を実施することができました。同時に積水水口化工様はセキュリティレベルが高いと感じました」と語った。

インシデント訓練を開催したシーイーシーに対しては、いつも通りの高いクオリティと評価している。「シーイーシーは伴走支援が得意なベンダーという印象。一緒に考えてより良いものを求めていくスタンスが素晴らしいと思っています。そういう意味では、今回のセキュリティインシデント訓練は期待通りでした」(深田氏)。

他部門にもセキュリティインシデント訓練を横展開する予定

今回のセキュリティインシデント訓練は、3つある生産部門のなかの1部門に対して行ったもの。来期以降、他の2部門でもインシデント訓練を実施する予定だ。そして数年後、今回の部門に対して新たなシナリオをもとにインシデント訓練を行う考えもある。「1回の訓練だけで理解できるものではありません。部門のメンバーが変わっている可能性もあります。何度もインシデント訓練を行い、頭と体で覚えることができれば、いざというときの対応につながっていくと考えています」と深田氏は真剣な眼差しで語った。

「セキュリティ意識が高い積水水口化工様の要望に沿った形で、今後も支援を続けさせていただければと幸いです」と語るのはシーイーシーの藤間。積水水口化工が生み出す高品質な製品の生産を支える一助となるセキュリティ対策の支援を、シーイーシーはこれからも続けていく。
 

左から
積水化学工業 奥出 英貴 氏、深田 耕治 氏
シーイーシー 高野 真子、藤間 美和子

お客様プロフィール

SEKISUIロゴ
 

積水化学工業株式会社

1947年の創業以来、常に新事業・新分野に挑み、社会を豊かにするさまざまな製品やサービスを提供することで成長。現在はアドバンストライフライン
(社会インフラ)、レジデンシャル(住まい)、イノベーティブモビリティ(エレクトロニクス/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つのドメインを中心
にイノベーションを創出し、サステナブルな社会の実現に向けた“未来につづく安心”の創造を目指している。

本 社 〒530-8565 大阪市北区西天満2丁目4番4号
代表者 代表取締役社長 加藤 敬太
従業員数 26,918名(2025年3月31日現在、連結ベース)
事業内容 住宅、インフラ・建築関連製品、モビリティ・エレクトロニクス向け高機能樹脂製品ならびに臨床検査薬などの製造・販売
URL https://www.sekisui.co.jp/

積水水口化工株式会社

車輛用・建築用合わせガラスに用いられる中間膜、セラミックスバインダー等に用いられる機能性樹脂、液晶ディスプレイなどに用いられる微粒子・
感光性樹脂を生産する積水化学グループの企業。自動車合わせガラス用中間膜は世界トップクラスのシェアを誇り、
世界中の自動車のフロントガラスに利用されている。電子部品業界をはじめ、接着剤、塗料、コーティング剤、印刷インクなど幅広い業界を支える
機能性樹脂も世界トップクラスのシェア。優れた性能を誇る微粒子はディスプレイ産業の発展に寄与し、貢献各種エレクトロニクスの実装用途にも
使用されている。

本 社 〒528-8585 滋賀県甲賀市水口町泉1259
代表者 代表取締役社長 尾山 雄一
従業員数 370名(2025年4月現在) 
事業内容 車輛用・建築用合わせガラスに用いられる中間膜、セラミックスバインダーなどに用いられる機能性樹脂、液晶ディスプレイ
などに用いられるプラスチック微粒子・導電性微粒子・感光性樹脂の製造、検査、出荷など
URL https://www.sekisui-minakuchi-kako.com/

※記載の情報は取材時のもので、閲覧時には変更されている可能性があります。

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