ビジネス環境の次なるセキュリティ課題を解決する、「Cyber NEXT」
課題
サイバー攻撃を受けたら復旧に集中したいため、ログ分析までは手が回らない
効果
昨今、医療機関へのサイバー攻撃が増加していることを受けて、厚生労働省は対策の強化を要請している。2023年4月に改正された医療法施行規則には、「病院、診療所または助産所の管理者は、医療の提供に著しい支障を及ぼすおそれがないように、サイバーセキュリティを確保するために必要な措置を講じなければならない」と記載された。
また、2023年5月には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」が策定された。ガイドラインの経営管理編(Governance)で、医療機関は情報セキュリティインシデントへの対策として事業継続計画(BCP)を策定し、訓練を実施することが求められている。
「ここ数年、医療機関がサイバー攻撃を受けて診療ができなくなった事件が多く発生しています。そのため、サイバーセキュリティ対策に取り組まなければいけないと考えていました」と語るのは、事務部 医療情報管理課長の岡田 謙二郎氏。同院では2018年から、医療情報管理課のメンバーを少しずつ増員し、体制を強化してきた。
600床規模の医療機関における医療情報管理課のメンバーは5名程度の場合が多いが、同院では11名が在籍している(2024年12月現在)。「サイバーセキュリティ対策を進めるには、まず、専門知識を持った人にチームに入ってもらうことが重要だと考えました」と岡田氏は真剣な表情で語った。
同院では2022年から外部接続回線の調査を開始。
2023年にはEDRとSOCを導入して、統合バックアップ基盤も設置した。さらに、2023年には「事業継続計画(サイバー攻撃編)」(以下 IT-BCP)を策定。2023年10月には、IT-BCPに基づいて第1回のサイバー攻撃BCP訓練を実施した。赤十字病院の中では初めてのサイバー攻撃BCP訓練だった。
2025年5月には、現行のSOCからの乗り換えでCEC SOCを導入する予定。本格的な運用が始まる前からCEC SOCとの連携を確認しておくために、2024年9月の第2回BCP訓練を実施する際に支援を依頼した。
同院は、第2回から訓練の項目に追加したSOCとの連携に関して、CEC SOCにシナリオ作成を依頼。CEC SOCの提案により、実際にSOCの拠点とオンライン会議を行い、SOCアナリストによる解説を聞くというシナリオが完成した。事務部 医療情報管理課 尾喜 拓也氏は、「BCP訓練の実施にあたっては、シナリオを作成するのが一番大変です。今回は、SOCベンダーとしての経験豊富なシーイーシーに任せられたので助かりました」と語る。
さらに、SOCとの連携以外も含めた全体のシナリオの整合性について、CEC SOCと何回も打ち合わせを重ねながら確認した。
岡田氏は、BCP訓練においてSOCとの連携を確認する必要性について次のように語った。
「医療機関がサイバー攻撃を受けた場合、職員は外来患者や入院患者に対応しながら、医療情報管理課は可能な限り早くデータやシステムを復旧させなくてはなりません。その対応に追われ、ログの分析まで手が回らなくなってしまうでしょう。だからこそ、ログを分析してマルウェアの侵入経路を想定するなど、的確な指示を出せる専門家との連携が重要であり、BCP訓練の項目に盛り込むべきだと考えました」。
今回のBCP訓練で、CEC SOCがログを分析するシナリオを実施したことにより、SOCと医療情報管理課の役割分担を明確にすることができた。岡田氏は「前回の訓練シナリオはアバウトなものでしたが、今回CEC SOCのセキュリティ専門家と一緒に検討を行うことで、よりリアルなものに仕上がりました。分析したログは訓練用のダミーでしたが、シナリオにリアリティがあったので、緊張感を持って訓練を実施できました。サイバー攻撃による被害がどこまで進んでいるか、SOCアナリストがダミー画面を見せながら解説する姿は頼もしかった」と語り、事務部 医療情報管理課 尾喜 拓也氏も「本当にサイバー攻撃を受けたとしても、CEC SOCに安心して任せられると実感しました」と力強く頷いた。
CEC SOCは「当社センターとリモート接続し、侵害の度合いを画面に表示しながら状況説明するなど臨場感が出るように工夫した。当社のCSIRT訓練は、お客様の情報システム部門に閉じた範囲の「ライトプラン」から、今回のような「カスタムプラン」まで大きく3カテゴリーのサービスを用意しているが、今回の赤十字様で学んだノウハウを活用し、今後の大規模なCSIRT訓練サービスに活かしていきたい」と語った。
第2回のBCP訓練は、第1回から実施項目が増え、内容が大きく改善されたものとなった。医療情報管理課が主導してシナリオをブラッシュアップしたのはもちろんだが、それだけではない。第1回に参加していたスタッフがサイバー攻撃を「自分ごと」として捉え、医療情報管理課からの指示がなくても、何をすべきかを自分たちで考えて訓練に盛り込んでいた。第2回BCP訓練でも、終了後に実施したミーティングの場で、事務スタッフや医療スタッフから積極的に意見が出された。
「IT-BCPを策定するのは、サイバー攻撃を受けて診療機能が一時的に停止したとしても、復旧するまでの時間をなるべく短くしたいからです。そのためには、院内の各部署が何をすべきかを自分たちで考えて動いてくれることが重要です。訓練を通して、その意識が根付いたことに大きな意味がありました」(岡田氏)。
同院の先進的なサイバーセキュリティへの取り組みは、全国の赤十字病院からも注目されている。第2回のBCP訓練に現地参加もしくはWeb参加していた赤十字病院からは、「自分のところでも同じように取り組みたい」という声が上がった。
「医療機関は法改正やガイドラインの改訂に早急に対応しなければならない状況ですが、どのようにすればいいか悩んでいるところも多いはずです。当院の取り組みを参考にしてもらえるように、全国の赤十字病院には情報を共有していきたいと思います」(岡田氏)。
次回のBCP訓練のシナリオには、サイバー攻撃を受けた際の医師会・調剤薬局や近隣の医療機関との連携に関する項目も追加する予定だ。
尾喜氏は「SOCのサービスを提供していても、システム構築が得意でない会社もあります」と前置きした上で、「CEC SOCとはシステムに関する会話がスムーズにできたので、実力があると感じられました。BCP訓練にも積極的に参加してくれましたし、サイバー攻撃で本当に困ったときにも、的確に対応してくれると期待しています」と評価した。
SOCベンダーを選定するにあたり、複数のSOCベンダーを訪問し、SOCの拠点を見学したという岡田氏と尾喜氏。CEC SOCの「雰囲気の良さ」を感じたのも、選定の決め手の一つだった。
「SOCアナリストは現場から離れた場所で仕事をしているので、どうしても疎遠になってしまうのではないかと思っていました。ところが、CEC SOCの拠点を見学したときは、SOCアナリストが我々の前に出てきて、親切に説明してくれたのです。若いメンバーが生き生きと働いていて、良い職場だと思いました」(岡田氏)。
最後に岡田氏は、サイバーセキュリティ対策のパートナー選びに悩む医療機関や企業に向けて、「膝を突き合わせて一緒に考えてくれるパートナーを探しましょう。インシデントが起こったときに本当に頼れる会社なのかどうかを見極めることが大切です」とアドバイスした。
所在地 | 〒180-8610 東京都武蔵野市境南町1丁目26番1号 |
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創設 |
1949年11月30日 |
院長 | 黒崎 雅之 |
許可病床数 | 611床(一般528床・ICU8床・HCU22床・GICU6床・SCU9床・NICU6床・GCU12床・感染症20床) |
URL | https://www.musashino.jrc.or.jp |
標榜診療科目
総合診療科、膠原病・リウマチ内科、感染症科、腎臓内科、血液内科、腫瘍内科、内分泌代謝科、循環器内科、消化器内科、呼吸器内科、脳神経内科、外科・消化器外科、乳腺外科、心臓血管外科、呼吸器外科、整形外科、産婦人科、小児科、新生児内科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科、眼科、皮膚科、泌尿器科、放射線科、脳神経外科、精神科、形成外科、麻酔科、リハビリテーション科、歯科口腔外科、病理診断科、緩和ケア内科、がんリハビリテーション科
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